屋根塗装における「縁切り」は、スレート瓦などの屋根材の重なり部分に塗料が流れ込み、隙間が塞がってしまうのを防ぐための重要な作業です。
しかし、すべての屋根塗装でこの工程が必要となるわけではありません。
以下に、縁切りが不要とされる主なケースを挙げます。

屋根塗装で縁切りが不要となるケース

スレート瓦以外では縁切り不要

スレート瓦(コロニアルやカラーベストなど)は、その構造上、塗装によって屋根材の重なり部分の隙間が埋まりやすい性質があります。
そのため、塗装後に塗膜を切り離す「縁切り」作業が原則として必要になります。
一方、和瓦、セメント瓦、モニエル瓦、トタン屋根、板金屋根といったスレート瓦以外の屋根材では、屋根材自体に十分な隙間が設けられているか、塗装しても隙間が塞がりにくい構造になっています。
そのため、これらの屋根材の場合、塗装工事における縁切り作業は一般的に不要となります。

新築初回塗装では縁切り不要

新築時に塗装される屋根材もあります。
そのため、新築後初めての屋根塗装を行う際、屋根材の重なり部分にまだ塗料が厚く積層されておらず、十分な隙間が確保されている状態であれば、縁切り作業は不要とされています。
この初回塗装の段階では、屋根材が塗料で埋まってしまう心配がほとんどないため、縁切り作業は不要とされています。
ただし、経年変化などで屋根材が反るなど、何らかの理由で隙間が既に埋まりかけている場合は、初回塗装であっても縁切りが必要となるケースもあり得ます。

特定の塗装方法では縁切り不要

塗装方法によっても、縁切りが不要となる場合があります。
例えば、スプレーガンなどを用いて霧状の塗料を吹き付ける「吹き付け塗装」では、塗料が隙間にまで入り込みにくく、また、塗膜が薄く均一に仕上がる傾向があるため、屋根材の隙間が塗料で塞がれるリスクが比較的低くなります。
そのため、吹き付け塗装を採用する際には、縁切り作業を省略できる場合があります。

屋根塗装で縁切り不要な理由

屋根材に十分な隙間がある

縁切りが不要とされる屋根材の多くは、元々、屋根材同士の間に雨水がスムーズに流れるための十分な隙間が確保されています。
参考文献1にあるように、和瓦やセメント瓦、トタン屋根などは、その形状や設置方法から、塗装工事を行っても、この排水のための隙間が自然に保たれるように設計されています。
また、新築時の初回塗装では、屋根材がまだ新しい状態であり、本来あるべき隙間が確保されているため、縁切りが不要となります。

塗装で隙間が埋まりにくい

スレート瓦以外の屋根材や、新築初回塗装、あるいは特定の塗装方法においては、塗装を行っても屋根材の隙間が埋まりにくいという特徴があります。
例えば、屋根の勾配が急である場合、塗料が重力で隙間に流れ込みにくく、自然に排水されます。
また、屋根材の先端が経年劣化で反っている場合も、屋根材の重なり部分に元々隙間ができやすくなります。
さらに、霧状の塗料を用いる吹き付け塗装も、塗料が隙間を埋めることなく均一に塗布されるため、縁切り作業の必要性が低くなります。
これらの理由から、塗装によって屋根の排水機能が損なわれる心配が少ないため、縁切りが不要とされるのです。

まとめ

屋根塗装における縁切り作業は、スレート瓦の塗装で雨漏りを防ぐために重要ですが、すべてのケースで必須ではありません。
縁切りが不要となるのは、スレート瓦以外の屋根材を使用している場合、新築後初めての塗装を行う場合、または吹き付け塗装などの特定の塗装方法を採用した場合です。
これらのケースでは、屋根材自体に十分な隙間があったり、塗装してもその隙間が埋まりにくかったりする構造や塗装方法であるため、雨水の排水機能が損なわれるリスクが低いからです。
ご自宅の屋根や塗装方法に当てはまる場合は、縁切りが不要なケースに該当する可能性があります。
しかし、屋根の状態は様々ですので、最終的な判断は専門家にご確認いただくことをお勧めします。