住宅の外壁塗装工事(塗替え)

塗装工事は、それぞれ役割(機能)を持った樹脂層(塗料)をコーティング(塗り重ねて、膜を作る)する工事です。

各層は決められた膜厚を満たさないと、期待した年数より早く劣化が始まり、長持ちしません。住宅の外壁塗装工事(塗替え)の工程は、高圧洗浄機で外壁を洗い、必要であれば補修工事を行います。

次に、旧塗膜にプライマー(新旧の樹脂層を密着させる目的で、接着剤のようなもの)を塗り、その上にトップコート(仕上げ用塗料)を2回塗りするのが一般的です。 トップコートは、外部の自然環境に十分耐える樹脂(アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素など)から作られています。

お客様が外壁塗装工事を発注する上で、ご自身で決めなければならない事項は、次の通りです。

1.外壁の色

2.テクスチャー
(外壁表面の凸凹模様)

3.仕上げ用塗料のランク

建物の状況や施工条件は別として、この3項目の組み合わせで基本的な外壁塗装工事の価格が決まります。

1.と3.は材料価格の高低だけで手間はほぼ同じです。材料費は塗装工事原価の2割程度といわれています。

このことから、手間が同じであれば、長持ちする材料を使用するのが賢い選択と言えます。2.のテクスチャーの変更は手間がかかり費用もかさむことから、ほとんどの方が現状のままを選びます。

外壁下地の種類

外壁の種類はたくさんありますが、ここでは代表的な次の5種類のものをご説明させていただきます。

  • 窯業系サイディング
  • 金属系サイディング
  • ALC
  • RC

住宅の外壁塗装工事は、外壁の素材や工法により補修内容や使用する塗料が異なります。

モルタル

モルタルとは、セメントに砂と水を練り混ぜて作ったものです。モルタル自体には防水性がほとんど無い為、その上に塗装をすることで雨水の浸入を防いでいます。

モルタルにクラック(ひび割れ)や、塗装が劣化してくると、徐々に水分を吸収し建物の構造体(柱・梁など)自体の劣化を招いていきます。定期的な塗替えが必要です。

クラック(ひび割れ)はシーリング材または樹脂モルタルを注入します。モルタルの欠損があれば、樹脂モルタルを埋めて補修します。

クラック処理施工例(クラックが大きな場合)

シーリング材が奥まで注入出来るようにディスクサンダーでVカットする

プライマーを塗布し、シーリング材を注入する

最後に樹脂モルタルにて平滑に仕上げる

窯業系(ようぎょうけい)サイディング

窯業系サイディングとは、セメント質原料に木片などを混ぜた後、プレス形成し板状にして表面を塗装したものです。現在約70%の新築戸建住宅に採用されていると言われています。

地震などで建物が揺れたときに、サイディングボードにかかる力を逃がす役割をしている伸縮目地(ワーキングジョイント)が決められた間隔で作られています。

この伸縮目地(ワーキングジョイント)にはシーリング材が注入してあり概ね5~10年ぐらいで破壊・劣化して、そこから雨水が浸入し、徐々にサイディングボードの裏側から水分を吸収し凍結。サイディングボードの”反り”や破壊を招きます。

また、モルタル同様窯業系サイディング自体に防水性が無い為表面の塗装が劣化してくるとサイディングボード・建物自体の劣化を招いていきます。定期的な塗替え、シーリング工事が必要です。

雨水による劣化を防ぐ為、通常シーリング工事を外壁塗装工事の前に行います。

窯業系サイディング下地のシーリング施工例

既存シーリングを撤去

マスキングテープ・プライマー塗布後に3面接着防止用ボンドブレーカーを貼り付ける

シーリング材注入後直ちにヘラ押さえ

マスキングテープをはがして完了

金属系サイディング

金属系サイディングとは、その名の通り金属を加工して作られたサイディングです。

一般戸建住宅に使用されている代表的なもので亜鉛メッキ鋼板に焼付塗装をしたもの(カラートタン鋼板)や、亜鉛メッキ鋼板にアルミニウムを約55%含ませたものに焼付塗装をしたもの(ガルバリウム鋼板)があります。

モルタル・窯業系サイディングと違い鋼板なので部材単体の防水性に優れ水分がしみ込むということはありません。しかし、結合部等の不良により雨漏りする場合があります。

また、表面処理の焼付塗装にも耐用年数があり、塗膜が劣化してくるとチョーキング現象(白亜化)が起こり鋼板表面が露出し錆が発生します。そのまま放置しておくと穴が開くこともあります。金属系サイディングも定期的な塗替えが必要と言えます。

ケレン作業(サンドペーパー・ディスクサンダー掛け等)をおこなった後、塗装します。

既存シーリングを撤去

マスキングテープ・プライマー塗布後に3面接着防止用ボンドブレーカーを貼り付ける

シーリング材注入後直ちにヘラ押さえ

ALC

ALCとは、軽量気泡コンクリート(Autoclaved Lightweight Concrete)の略です。耐火性に優れていることや、コンクリートより軽いという長所がある一方、モルタル・窯業系サイディング同様にALC自体に防水性が無い為、シーリングと塗膜で雨水の浸入を防いでいます。定期的な塗替え、シーリング工事が必要です。

雨水による劣化を防ぐ為、通常シーリング工事を外壁塗装工事の前に行います。

ALC下地のシーリング施工例

プライマーを塗布

シーリング材を注入

ヘラで仕上げて完了

RC

RCとは、鉄筋コンクリート構造(Reinforced Concrete)の略です。

鉄筋がもつ性質の粘り強さと引張強度とコンクリートがもつ性質の高い圧縮強度を併用した構造。鉄筋(座屈・撓み・酸化)、コンクリート(曲げ・引張強度)、の互いの弱点をカバーしていることで、非常に頑丈な構造と言われています。

そのためマンションなどの大型建造物に多く採用されています。

しかし、この頑丈な建物でもクラック(ひび割れ)が発生し雨水等が中に入ると内部の鉄筋が錆びて膨張しコンクリートの剥離・剥落が生じます。

この様な現象を爆裂をいいます。こうなる前に早めの点検、定期的なメンテナンスが必要です。

外壁塗装の塗料の種類

一般的に、塗料の価格はその成分である樹脂と色で決まります。現在、住宅の外壁塗装工事で主に使用されている塗料は、下記のとおり5種類が使用されています。

また、それぞれに溶剤系(シンナーで希釈)、水性系(水道水で希釈)と1液型(1つの缶に入っている物)、2液型(主剤と硬化剤が別々の缶に分けてある物)があります。同じ樹脂の場合、「水性系よりも溶剤系」、「1液型よりも2液型」のほうが耐用年数が長く、それに伴い価格も高くなります。

この他、セラミックハイブリッド技術や光触媒を用いた超低汚染性の塗料や、遮熱・断熱塗料など省エネルギータイプのものが近年注目されています。

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