瓦屋根の中でも、「モニエル瓦」と「セメント瓦」は見た目が似ているため、違いがわかりにくいと感じる方が多いかもしれません。
実は、それぞれの瓦には特有の特性や見分け方、メンテナンスの注意点があります。
ここでは、モニエル瓦とセメント瓦の違いについて、特徴やメリット・デメリット、さらにメンテナンス方法を踏まえて詳しくご紹介します。
モニエル瓦とセメント瓦の基本的な違い
モニエル瓦とセメント瓦は、いずれもセメントを主成分とした屋根材ですが、その構造や耐久性には大きな違いがあります。
1:モニエル瓦の特徴
モニエル瓦は、セメントに川砂を混ぜて形成された瓦で、防水性や遮熱性に優れた屋根材です。
ヨーロッパを中心に広まり、日本でも1970年代から1980年代にかけて人気を博しました。
色合いやデザインも豊富で、欧風のデザインが好まれますが、現在は生産が終了しており、入手には中古品を利用するのが一般的です。
中古品であることから、メンテナンスが欠かせない屋根材です。
2:セメント瓦の特徴
セメント瓦もセメントと砂で作られた瓦で、塗装が必要な屋根材です。
スレートに近い性質を持つため、粘土瓦と異なり防水機能がありません。
定期的に塗装を行わないと耐久年数が短くなるリスクがあり、長く使用するには塗り替えが必要です。
3:見分け方
見た目は似ていますが、断面や小口の状態に違いがあるのが特徴です。
モニエル瓦の小口には凹凸があり、裏側に「M」マークのロゴが刻印されています。
一方、セメント瓦の小口は滑らかな平らな仕上がりです。この違いを見極めることで、モニエル瓦とセメント瓦の判別が容易になります。
モニエル瓦とセメント瓦のメンテナンス方法
メンテナンス方法も異なり、特にモニエル瓦には専用の対策が必要です。
1:モニエル瓦のメンテナンス
モニエル瓦には「スラリー層」と呼ばれる塗膜が存在します。
このスラリー層は塗膜の密着性が低いため、塗装の際に残してしまうと塗膜が剥がれやすくなります。
そのため、塗装前には手作業でスラリー層を除去することが必要です。
また、モニエル瓦には専用の塗料を使うことが推奨されており、会社に依頼する場合は、専用塗料が使用されているか確認するのがポイントです。
2:セメント瓦のメンテナンス
セメント瓦は、定期的に塗装を行うことで耐久性を維持できます。
おおよそ10~15年ごとに塗り替えを行うことで防水性を保てます。
モニエル瓦ほどの特殊な処理は不要ですが、こまめな塗り替えが不可欠です。
3:葺き替えの必要性
モニエル瓦は、経年劣化と共に耐久性が低下するため、場合によっては葺き替えが必要です。
モニエル瓦は生産が終了しているため、交換する際は金属屋根などの別の素材が選ばれることが多いです。
まとめ
モニエル瓦とセメント瓦は見た目こそ似ていますが、特性やメンテナンス方法に明確な違いがあります。
モニエル瓦は防水性が高くデザイン性に富む一方で、スラリー層の除去や専用塗料の使用が必要であり、手間がかかります。
セメント瓦は比較的管理が容易ですが、塗装を怠ると耐久年数が短くなるリスクがあります。
いずれにせよ、これらの瓦を選ぶ際には、その違いをしっかり理解し、最適なメンテナンスを行うことが大切です。